紹介

 当院は、日本脳卒中学会によって一次脳卒中センター(PSC)に認定されております(鳥取県西部では2施設のみ。もう一つは鳥取大学医学部付属病院)。その認定要件として、地域医療機関や救急隊からの要請に対して、いつでも急性期脳卒中患者を受け入れ、CT/MRIや血液検査などを行い、速やかに診療を開始することが求められております。

 特に、脳梗塞(脳の血管が詰まってしまい、麻痺や失語症を合併する)の場合、必要ならば、tPAという強力な血栓を溶かす薬にて血栓溶解療法を行ったり、さらに、カテーテルを用いて、詰まった血栓を取り出す機械的血栓回収術を行います。また、脳出血(脳内出血およびくも膜下出血)の場合、必要ならば、速やかに脳外科的処置(開頭術や脳血管内治療)ができる体制をとっております。

 当センターの特徴の一つは、主に脳梗塞を診療する脳神経内科と主に脳出血を診療する脳神経外科が、スムーズな連携をもって脳卒中診療にあたっていることです。この2科は隣り合う診察室で外来診療を行い(1階A外来)、共同でカンファランス(毎週)を行っているため、お互いに意思疎通が取りやすく、個々の症例に合わせて、速やかに方針を協議できます。時間との勝負である脳卒中診療において、速やかな治療方針決定は、その治療成績を上げることに不可欠な要素と思われます。

 また、リハビリテーション科の協力により、脳卒中発症後の超急性期より、ベッドサイドにて、運動療法・作業療法・言語聴覚療法などを、可及的速やかに開始し、早期機能回復を目指しております。脳卒中の亜急性期・慢性期になり全身状態が落ち着くと、退院・転院することになりますが、その際には、総合支援センター所属の看護師やソーシャルワーカーによるスムーズな退院支援を受けることができます。看護外来では、リハビリテーション認定看護師による慢性期の不安相談や生活指導を行っております。さらに、治療就労両立支援事業部では、脳卒中後の患者さんに職場復帰支援も行っております。

 勤労者に対する脳卒中予防対策とて、以前より脳ドックを行っており、一症例ずつ、脳神経内科と脳神経外科医師の共同で検査結果を判定し、指導を行うことにより、少しでも脳卒中の発症を少なくすることを目的としております。平成3年3月の新病棟完成に伴い、HCU(高度治療室)が8床から12床に増床となり、脳卒中患者さんの受け入れがより容易となりました。これからも、この地域の脳卒中診療に対して、中核病院としての使命を果たし、信頼・安心を得られるよう心掛けてまいります。

  • センター長(兼)
    田邊 路晴(脳神経外科部長)
  • 副センター長(兼)
    楠見 公義(脳神経内科部長)